リバーティア開発フロー

 はじめましてなので、KamiCraftの自己紹介をさせていただきます。KamiCraftは名古屋市立大学 芸術工学部の現役生(2018年時点)6名で構成されたゲーム制作チームです。『リバーティア』を制作いたしました。  

 

 12月20日Nintendo eShopでNintendoSwitchダウンロード用ソフト『リバーティア』が配信されました。

ec.nintendo.com

  

 さて、軽い自己紹介が終わったところで、このブログではリバーティアを開発したことやKamiCraftの紹介などをして、リバーティアのことを知っていただけたら、と思っております。そして、リバーティアを買ってくれたら嬉しいな、という下心があります。よろしくお願いします。

 

 では早速ですが、はじめの記事は『リバーティア開発フロー』です。

 

『リバーティア開発フロー』(文章:宮里

 手書きの世界でまったり遊べる リバーシ風2Dパズルアクション!

 リバーシのようにパネルをめくったり、挟むことで、足場を作ったり、障害物を消したり、敵を倒したり、敵を落としたりと色々なアクションが生まれます。 アクションを駆使してパズルを解いて、ゴールにたどり着こう!(Nintendo eShopのゲーム紹介文から抜粋)
 
 はじめに、リバーティアとはリバーシ(オセロ)とアクションを混ぜたら、パズルゲームになるのでは・・・!?というアイデアから生まれました。下の画像はKamiCraftのゲームデザインを担当している宮里が大学3年の授業をそっちのけでゲームのアイデアを考えている時に降ってきたリバーティアの原案です(ぼやけてて申し訳ないです)。

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リバーティア原案
すっごい雑ですね。とりあえずこの時点では自分がわかって人に説明できればなんでもいいんです。
 
 宮里はこの謎の紙を見て、ピュアでスマートで良いアイデアが降ってきたな、と授業中にニヤニヤしてました。
 
  そして、宮里とプログラム担当の2名石黒岡田の同級生3人組はこのアイデアからゲームを作り、芸工祭(名古屋市立大学 芸術工学部の学祭)に展示しようということになりました。そのためにはじめに取り掛かったことはリバーシのシステムの構築です。ここが技術的にできなければ制作は中止ですね。結構不安でしたが、岡田が一夜で作ってきました。下の画像がリバーティアのプロトタイプ時代の画像です。

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リバーティア プロトタイプVer
中央のキャラクターは雰囲気だけです。動きません。 
 
 白黒のパネルをマウスでクリックするとめくることができます。もちろんオセロのように挟めば間のパネルもめくれます。
 このように、一番大事なところは岡田が意外とあっさりやってくれました(相当な苦労があったかもしれない)。すごい。パネルのシステムを岡田が作ったので自然とパネル関連のプログラムは彼が担当するようになりました。
 
 次に石黒はキャラクターのアクションであるパネルをめくったり、ジャンプしたりという諸々のところを作ってくれました。他にもアニメーションをつけるところもやってくれています。というかパネル以外のプログラムはほぼ石黒がやっているような気がします。すごい。
 
 二人が頑張っている間に宮里はというと、ステージのアイデアを考えていました。チュートリアルステージ、簡単なステージ、難しいステージの3つを考えました。結構な時間があったのに、3ステージしかできなかったのは、リバーティアのパズルを考えるのがかなり難しかったからです(とにかく複雑怪奇です......詳しく説明する機会があれば良いですね)。
 
 ということでヒーヒー言いながらゲームは完成に向かって行き、芸工祭当日になりました。
 
 そしてこちらが実際に展示したゲーム『リバーティア』の画像です。

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リバーティア 芸工祭Ver
グラフィックデザイナーがいなかったので、岡田グラフィックデザインのほとんどを担当していました 
 
 ゲームが完成して初めてプレイした3人の感想は全員が強く記憶しています。
ゲームだ......です。
 この時までにもいくつかゲームを作ったのですが、遊びとは程遠い作品ばかりだったので、初めてまともに遊べるゲームを作ることができて興奮していたんですね。
 
  さて、芸工祭の展示が終わり、リバーティアをコンペに出すことになります。せっかく作ったんだし、誰かに見せたいよね、というような軽い理由です。当時、たまたま開催されていたのが、PLiCyゲームコンテストでした。ゲーム配信サイト「PLiCy」にゲームを投稿してあとはチョチョイとするだけで簡単に参加できるゲームコンテストです。
 このコンペの結果、なんと......アクション部門 銀賞をいただきました!やったー。
 
 しかし、リバーティアの制作は休止(再開未定)となります。私たちは大学生で、大学の課題や就活の準備などでいっぱいいっぱいでした。そもそも一度完成したゲームをブラッシュアップする理由があまりなかったのもあります。
 
 数ヶ月後、一転してリバーティアをブラッシュアップすることになりました。石黒が就活のインターンシップで、ある企業にリバーティアを見せたところ、いろいろな議論が交わされました。その議論をまとめると、まだまだ作る余地があるということでした。このことから、宮里が勝手に奮い立ったみたいです。
 ブラッシュアップではグラフィックや音楽関連の一新と新ギミック、ステージの追加、を目標にしていました。そのためにグラフィックデザイン担当の伊藤サウンドデザイン担当の瀬戸山にも制作に参加してもらいました(実は瀬戸山は芸工祭の時にもSEを作ってもらっていました)。下の画像はがブラッシュアップが完了した『リバーティア』です。

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リバーティア BUVer
「めくる」ゲームシステムから、伊藤のアイデアで「紙」の世界観が生まれました
 
 「パネルをめくる」というゲームシステムから「紙をめくる」という世界観が提案され、手書き風の可愛いらしいキャラクターが登場するゲームとなりました。キャラクター以外にも様々なギミックが登場しますが、ほぼ全て「手書き風」を意識して、絵本のようなデザインになっています。また、アニメーションも滑らかに動くようになって、味が出てます。ちなみに、この時から伊藤がほぼ全てのデザインを担当しています。すごい。
 
 芸工祭Verでは、パズルゲームだから硬い雰囲気にしたほうが合っていると考えていたので、無機質なデザインでした。しかし、落ち着いて遊べて、しかもかわいいキャラクターが出てくるパズルゲームの方が遊ぶ人もモチベーションが上がるんじゃないか?という考えもあり、手書き風に舵を切りました。作る方もモチベーションが上がってよかったです。
 
  そしてこの新たに生まれ変わったリバーティアをコンペに出すことになりました。GFF Awardという巨大なコンペです。このゲームコンペに参加するにはゲーム紹介動画が必要でした。映像を作れる人がいないので映像編集担当の櫻井に制作に参加してもらうことになりました。そして、このコンペの結果というと......一次審査すら通らず!宮里はゲームが悪いのではなく、審査員の見る目がないんだよ、とぼやいてました。)
  
 GFF Awardから少し時間が経ち、学年が1つ上がり、4年生として就活が始まった頃に、ふとPLiCyのことを思い出しました。宮里石黒の思いつきで、PLiCyにブラッシュアップ版を投稿しよっか、ということになりました。話が変わりますが、PLiCyはPLiCyゲームコンテストの受賞作をNintendoSwitchに移植する事業も行っています。『Buddy Collection if ー宿命の赤い糸ー』という作品が実際に移植されていました。
 
 俺らもワンチャン移植の依頼がくるんじゃね?wwwwという冗談を言って二人で笑ってました(フラグ)。
 
 投稿の翌日、マジでPLiCy様からメールがきてました。メールは移植してみませんか?という内容です。
 
 嬉しかったですが、同じくらい不安が大きかったです。というのも、制作メンバーの全員が大学生で、主要メンバーの宮里石黒岡田は就活と同時に開発を進めなければなりませんし、他のメンバーも大学の課題と同時に進めなければならないからです。ですが、結局やろうということになりました。こんな機会が巡ってくることはなかなか無いですからね。
 
 PLiCy様に移植のための開発を承諾したところ、いくつか追加の仕様を要求されました。以下が要求された仕様です。
 ・ステージセレクト機能
 ・セーブ機能
 ・ポーズ機能
最後に
 ・追加ステージ
 
 上の3つの仕様はゲーム全般において必要ですよね。ですが、プログラマ2名は今までのゲーム制作において、一通り遊べるところまで作るのがやっとだったので、ゲーム内のインフラはあまり作った経験がありませんでした。
 そうした理由もありますが、これらの機能を盛り込むのに、プログラマはかなり苦労していました。単純に機能を追加することはできますが、プログラマそれらの機能を使う人が快適かつ動きを魅力的に感じるように励んでいました。下の画像がポーズ画面です。

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ポーズ画面

画像だとよくわかりませんが、選択している項目だけ、もじゃもじゃとアニメーションしています

 

 基本的に大まかな機能は制作メンバー全員で話し合って決めていますが、その中のこだわりはプログラマにあります。リバーティアの中の様々な動きも楽しんでもらえると嬉しいです。

 

  さて、最後の太字にしてる追加ステージは頭を抱えました、宮里が。他のメンバーに助けを求めても、「パズルゲームのステージを考えるのなんて絶対難しいし、絶対イヤ。自分じゃなくてよかった」と言われました。結局、NintendoSwitch版も全てそうですが、ステージは宮里が全て考えています。ちなみにNintendoSwitch版の追加ステージでは、少しだけ難易度が高めのステージを用意しています。
 リバーティアはなるべくパズルが難しく感じないようにいくつかの工夫がされています。当然ですが、簡単なステージの後に難しいステージが登場するように設計されています。それだけではなく、簡単なステージは難しいステージを解くのに必要なパズル要素が抽出して作られています。難しいステージで詰まったら、1つ2つ手前の簡単なステージを解いてみるといいかもしれないですね。
 
 話が変わり、リバーティアは現在ステージ制を採用していますが、実はPLiCy様からお話をいただいた直後に、メンバーの中でアドベンチャーにしてはどうか、という意見が持ち上がりました。この意見が挙がった時、アドベンチャーゲームとしてのリバーティアの構想は具体的にありました。しかし、アドベンチャー制にするには時間や人員、言語などの問題点があり、残念ながら却下となりました。今でもリバーティアをアドベンチャーにしたら、こんなアイデア入れれるな、とか妄想してます。
 
 追加の要望がきたのはこれだけですが、実は他にもたくさん追加や変更をしています。以下が主な追加・変更点です。
 ・新ギミック
 ・グラフィック
 ・SE・BGM
 ・リザルト機能
 ・隠し要素
 
 新ギミックについては、宮里プログラマ石黒、岡田とグラフィックの伊藤にステージが思いつかないので、新ギミックを追加させてください!とお願いをしたというバックストーリーがあります。本当にきつかったんですね。
 
 グラフィックの追加点は、ステージセレクトなどの機能に使われているGUI(ここではゲームに対するユーザーの指示を、見た目で表現して指定できるようにする部分)などです。 
 GUIの例を挙げると、下のステージセレクトの画像のように見た目でどのステージを選んでいるかわかるようにしている、という感じですかね。

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ステージセレクト画面
ステージセレクト画面です。画面左のステージ番号の紙は「付箋」です。紙の世界をちゃんと意識してます。
 
 グラフィックの変更点は細かいところですが、上の画像でもわかるように背景の色が緑色になってます。リバーシ(オセロ)の背景の緑色と合わせることでリバーシ感を出してルールを利用していることを示しています。
 変更点は他にもたくさんありますが、紹介しきれないので、自分で見つけてみてください!この記事に載せた画像だけでもいくつかありますよ。
 
 SEに関してはたくさんの追加と変更がありました。紙の世界を意識するように変更しています。
 BGMは全て変更になりました。変更する際の宮里瀬戸山に対する注文はめちゃめちゃアバウトでした。落ち着いた雰囲気で、ちょっと民族テイスト?」という感じです。こんな注文でしたが、採用されているBGMは本当に心地よいのでじっくりと聞いてみてほしいです。サウンドデザインの瀬戸山何度も何度も作り直しをお願いしており、リバーティアのBGMの多くは単純にループしているのではなく、実は徐々に変化しているという作り込みまであります。すごい。ループした時にこんなに変わってたのか!と思うかもしれないですね。また、BGMは追加もありますし、雰囲気の良い曲なので聞いてみてください!
 
 次はリザルト機能です。クリアタイムとステージでパネルをめくった回数を記録しています。賛否が別れるかもしれないですが、ゲーム中では、クリアした時にしかクリアタイムもめくった回数も見れないようになっています。これは宮里がパズルを解いている最中に焦らせたくない、という思いからです。テストの時に時間が迫っていると、焦って頭が回りませんよね。リバーティアでは気のゆくままパズルしてもらえると嬉しいです。

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リザルト画面
ステージセレクト画面でハイスコアが確認できるようになっています
 
  最後は隠し要素です。PLiCy様にバレているのかわかりませんが、あるステージ?にめくれるはずの無いパネルがめくれるようになっています。その先には......。しかし、この隠し要素はゲームが有利になるわけでもなんでも無いです(笑)。このゲームを作ったのがKamiCraftってことを知っていれば、ちょっと笑えるかもしれないですね。
 
 KamiCraftといえば、実はPLiCy様から移植の依頼をいただいてからKamiCraftというチーム名をつけました。名前の由来はリバーティアの紙の世界から「PaperCraft」という言葉が出てきて、そのままだとちょっとかっこよすぎるのでPaperをKami(紙)に置き換えて、KamiCraftとなりました。リバーティアは海外でも配信されているので、日本感を出したかったのもあります。
 KamiCraftのロゴデザインは伊藤が行い、ロゴモーションは櫻井が制作しました。

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KamiCraftロゴ

緑色はリバーティアの背景色、白色と黒色はパネルの色からきています。

 

 ロゴモーションはクールなのでみてほしいです。NintendoSwitch版の冒頭で見ることができます。

 また、リバーティアのPVも櫻井が制作いたしましたので、ぜひご覧ください。

www.youtube.com

 
 さて、この記事の最後になりますが、開発に協力していただいたPLiCy様、本当にお世話になり、ありがとうございました。ゲームに内容に関するアドバイスやNintendoSwitchへの移植作業など、様々な点でお世話になりました。また、実機で遊んだら色々な機能が付いていて驚きました!(KamiCraftメンバーは実際にNintendo eShopに配信されたタイミングで初めて実機で遊びました)
 
 さて、記事はここで終わりとなります。この記事を読んでリバーティアに興味を持っていただけましたら、どうぞお買い求めくださいませ!遊んでいただけると本当に嬉しいです。
 
 リバーティアやKamiCraftなどに関して、気になることがございましたら、ご連絡ください。では、ここまで読んでくださり、ありがとうございました。